「緊張感は24時間365日」 分娩休止受け、産科医が実情訴え 検討会で市民から疑問も

2019.08.02
ニュース丹波篠山市産科問題

ささやま医療センター産婦人科の実情を説明する田中部長(中央)ら=2019年7月27日午後7時28分 兵庫県丹波篠山市網掛で

兵庫県丹波篠山市黒岡の兵庫医科大学ささやま医療センターが「医師2人体制では安全な分娩ができない」として、産科の分娩休止の方向性を出したことを受けた同市の「ささやま医療センターの産科充実に向けての検討会」(委員長=酒井隆明市長)の2回目の会合がこのほど、同市の丹南健康福祉センターで開かれた。同センター副院長も務める田中宏幸産婦人科部長らが出席。「2人がずっと、いつ呼び出しがあるか分からない緊張感を持って24時間365日を過ごしている。みなさんに期待してもらっている安心・安全な産科医療は困難だ」などと現状を述べた。

今年5月、同市は同医療センターが分娩休止を検討しているとの意向を確認。酒井市長は「市の中核病院として産科分娩は不可欠」とし、昨年6月に兵庫医大と締結した、(同医療センターの)産科、婦人科、小児科などの「存続と充実に務める」とする協定に沿い努力すべきと主張、市民の意見を聞こうと7月6日に初会合をもった。

第2回検討会で、委員からは「医師2人ではなぜ分娩ができないのか」「産科医院では分娩できるのに、医療センターはなぜできないのか」「臨時的にでも助けてくれる医師を探すことはできないのか」などの質問が出た。

田中部長は、全国的にも産婦人科医が減少し、兵庫医大本院の産婦人科の医局も定員15人に対し、1人不足している状況であること、ささやま医療センターは労働基準法からみても必要数に達していない状況を説明。「医療センターには、小児科や麻酔科とも連携した『病院』としての機能が期待されているが、その要望には応えられない状況」「医大としては、若い医師を育成する役割もあるが、指導する余裕はない」などと回答した。

助産師についても、待遇を医師並みに厚くしても、なお人材確保が難しいという。また、分娩予約に対し、「分娩休止について協議を始めているので、当院で対応できない場合もある」との説明を始めているとの報告もあった。

田中部長は、「『分娩は休止する』とは言っているが、これからの産科充実について考える時、産科医の立場で話ができる人は必要。協力できることはしたい」と話したが、酒井市長は「田中先生は業務に専念して」と、かみ合わなかった。

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