日本茅葺き文化協会事務局長 上野弥智代さん(茨城県つくば市)


 
茅葺きの良さ伝える

 茅葺きの文化と、技術の継承・振興をはかろうと、2010年に一般社団法人化された「日本茅葺き文化協会」で事務局長を務める。今年5月には、国際茅葺き協会(欧州と南ア、日本の7カ国から成る)の初の日本大会が岐阜県の白川郷を中心に開催され、運営に奔走した。開催に合わせて英訳付きで発行した「日本茅葺き紀行」(農文協)の執筆も担当。もともと人とコミュニケーションをとるのが好きで、「大会はすごく大変だったが、やりがいがあった」。

 神戸でプログラマーとして働いていた24歳の時、阪神淡路大震災が発生。半年以上ショック状態が続いたが、自分を見つめ直す転機となり、「里山とつながった木の家をつくりたい」と目標を定めた。

 大学再進学を決意し、筑波大学芸術専門学群建築デザインコースを卒業後、里山建築研究所(つくば市)に勤務し、木の家を設計している。

 東日本大震災では、社内で取り組んできたノウハウを活かし、福島県内に木の仮設住宅を2カ月間で200戸建設した。昨年の豪雨で被災した岡山県へ48戸移築されるなど、その後も役立てられている。

 「災害のたびに、どうあるべきなのか考えさせられてきた。身近な自然素材を使った循環型の暮らしには無理がない。そこを次の世代に伝えていきたい」。

 ヨーロッパでは、茅葺きはエコロジカルな工法という認識が広まっているという。オランダでは年3000棟も新築されているのに対し、日本では新築はほとんどない。「職人さんたちと一緒に、茅葺きの新しいデザインをつくる」のが夢の1つだ。

 丹波市山南町出身。48歳。