読書

2019.10.27
丹波春秋未―コラム

 命の尊さを子どもに伝えるには墓参りが有効だと、丹波篠山市出身の臨床心理学者、河合隼雄氏はいわれた。墓参りを通して子どもは、死んだ人と生きている人の間にはつながりがあり、命の連鎖の中に自分がいることを知るという。

 「このお墓は、お前のおじさんだけど三つで死んだんだ」などと子どもに語りかけると、子ども心にものすごく考えるという。ただ、語りかける内容には禁句がある。命について大上段に構えた説教や訓戒は、子どもをしらけさせるというのだ。

 子どもの思考力を高めるには読書が有効だと、作家の清水義範氏はいわれた。本をたくさん読めば、言葉の力がつき、ひいては思考力が高まるという。だから子どもには本を与えればいい。ただ禁句がある。「この本を読んで、どう考えた」などと感想を求めないことだ。

 「おもしろかった」「いい気持ちになった」。それで十分。作者の思いや主題などについて問うと、子どもは本嫌いになる恐れがある。

 墓参りで肝心なことがある。それは親が敬けんな気持ちで墓参りをすること。そうでないと、いくら語りかけても子どもの心に届かない。読書もしかり。清水氏は「まずは親が本を読め」という。きょう10月27日から読書週間だが、我が子を本好きにするには、まずは親が本を楽しむことだ。(Y)

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