ラグビー日本代表

2019.11.07
丹波春秋未―コラム

 ラグビー・ワールドカップが終わった。日本は4強には進めなかったが、本当に良いチームだった。南アフリカ戦敗退の試合後、選手達はこれで解散するのを惜しむように、いつまでもグラウンドを去らず、ファンの大歓声に包み込まれた。

 外国出身選手が半数を占めるが、開会式の「君が代」斉唱を韓国の具を含め、皆大声で歌っていた。日本の歴史や文化を知ることで一体感を作ろうと、「君が代」の意味を勉強し、宮崎合宿の際には「さざれ石」を見に行ったという。

 優勝した南アも素晴らしかった。人種差別がひどかった同国では、〝白人のスポーツ〟ラグビーは長らく黒人の憎しみの的。第1回、2回はワールドカップ出場も認められなかったが、自国で開かれた3回目の95年、大統領になったマンデラが「国民融和」を説き国民一体となって後押し、優勝に導いた。

 当時黒人選手はただ1人だったが、今は主将が黒人。決勝戦の勝利後、黒人と白人選手が抱き合い、観客席でも同じ光景が繰り広げられた。

 強くなった日本。4年後に向けてまだまだ課題は多いが、今回作り上げられたチームの空気は、絶やさずに引き継いでほしい。「日本人と外国人がしっかり協働できることを、ラグビーを通じて知ってもらえた」というリーチ主将の言葉を噛みしめたい。(E)

関連記事