茅葺きはエコロジカル

2019.11.14
未―コラム記者ノート

 丹波市山南町の慧日寺で茅葺き屋根の葺き替えがあり、茅葺きが循環型資源だと実感するできごとがあった。足場に上らせてもらうと、風化した屋根は栄養のある土になっていて、中から丸々と太ったカブトムシの幼虫がたくさん出てきたのだ。表面はコケで覆われてユリの花も咲いていた。古いカヤは、地元の檀家たちが持ち帰って畑に撒くそうで、いい肥料になるという。

 日本茅葺き文化協会事務局長の上野弥智代さん(丹波市山南町出身)にインタビューし、ヨーロッパでは茅葺きはエコロジカルな工法という認識が広まっていると聞いた。オランダでは年3000棟も新築されているという。写真を見せてもらうと、かわいらしい家やモダンな公共施設などがあり、かやぶきのイメージが覆された。日本では建築法の関係もあり、新築はほとんどないそうだ。

 慧日寺では、今回初めて、一般ボランティアを募って葺き替え作業にあたられた。これまで守ってこられた檀家さんたちの努力と知恵の上に、茅葺きに思い入れのある人たちの新しい風も入り、活気のある現場になったようだった。(古西 純)

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