そう、切ないのよ、夏の終わりは…

2017年08月31日

 チリチリチリ♪スイーッチョン♪チョン♪リーン、リーン♪夜も明けきれぬほんのひと時、夜露にしっとり濡れた草むらから秋の音が広がり、静かな時間が流れる。

 あれだけたくさんの賑やかな笑い声や蝉の声に包まれ、いつまで続くのかと思った、暑く忙しない日々がほんの一瞬だったかのような錯覚にとらわれながら、ポツーンとだだっ広い畑に取り残されて、母ちゃんはいまだ黙々とブルーベリーの収穫に追われている。

 「あと少し、あともう10日くらいで終われるから」と自分を励ます母ちゃんと、夏休み中、親子で夏らしいお出掛けが一切できなかったから、どうしても地元の夏祭りに行きたいと懇願する子どもたちを父ちゃんが見て、パック詰めは引き受けるから行っておいでと、鴨庄夏祭りに送り出してくれた。

 娘が年長の時に一度参加したっきりの地元の夏祭りは、出会う人がほぼ知り合い。「まだ忙しいんやろ?」「落ち着いたか?」「久しぶり~!来れたん?」と声をかけてくれる地元の人たちにママ友たち。チビタもご機嫌でスイカ音頭をご披露し、お気に入りのおばちゃんを捕まえ、射的に夢中。娘はお友だちと浴衣を着てそぞろ歩き。闇夜に吸い込まれる賑やかなお囃子の音に、グルグルとやぐら周りで浮かんでは消える幾重もの舞の列。その周りを走り回る子どもたち。

 あぁ、夏はここにもあったんだと何故か切なくなる母ちゃん。そう、夏の終わりは賑やかで切ないものなのね。
(古谷暁子・ブルーベリー農家)

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