老いてなお

2017年11月05日

 先頃、本紙に掲載された「高齢女性と春の日うたう」の記事に登場した吉見よしゑさんは、私の高校の同級生の御母堂。長く中竹田で一人暮らしを続けていたが、三年ほど前から福知山市にある介護施設で暮らしておられる。本年度の公益社団法人俳人協会の主催する全国俳句大会において、同協会会長大串章氏の特選に輝いたのは〈折り鶴の一羽一羽や日脚伸ぶ〉という俳句。よしゑさんが現在暮らしておられる施設には、様々な事情で入居している多才な人たちがおられる。その中の百歳近い方が、入居者に折り紙を教えていて、それを詠まれた句だという。

 「日脚伸ぶ」というのは、冬の終わりごろの季語で、少しずつ日の暮れるのが遅くなり、春の訪れを待つ気持ちの溢れた季語だ。丹念に鶴を折っている間にも時は流れ、辛かった冬も春に。何とも温かで未来志向の俳句。

 東京在住のよしゑさんの息子はとても親孝行で、折りにふれ帰郷しては、お母さんを中竹田の実家へ連れて来られる。今年の夏は二週間滞在して一緒に過ごしたという。九月はじめにあった柏陵同窓会東海支部に来てくれた時、「母親が自分で応募した俳句が俳人協会の賞をもらったというのだけれど、どうなの?」と聞いてきた。思わず「それってすごいことよ!」とびっくり。この母ありてこの息子で、彼も人間的にとてもあたたかな心の持ち主だ。よしゑさんの句歴は長く約六十年、かつて西山小鼓子さんの句会でも学ばれた。その成果が九十三歳の今、花開いた。誠にめでたい。見習いたいものだ。

電子書籍 新刊情報

携帯でパチリ

あなたも参加しよう

あなたも丹波新聞作りに参加しませんか? ツイッターでは、丹波の出来事にハッシュタグ「#tanba」をつけてツイートして下さい。トップページでツイートを拾っています。
QR「携帯でパチリ」への応募作品は。本誌上でも紹介いたします。掲載用ニックネーム、お名前、タイトルを併記して、丹波新聞社までメールしてください。