うつと言葉

2011.09.10
丹波春秋

 1998年に全国の年間自殺者数が3万人の大台に乗って以来、毎年、3万人を超えている。この推移に符合するように、丹波地域の年間自殺者数も98年に30人を突破。以来、一昨年までほぼ毎年、30人以上の自殺者が出ているという。▼年代的には40―59歳の働き盛りが多い。理由としては健康問題、経済・生活問題などがあるとされるが、うつ病から自殺へ、という経路がよく指摘されるところだ。15人に1人は生涯に一度は、うつ病を経験するとも言われており、決して人ごとではない。▼医学博士で浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは、自分が過去、うつに苦しんだことを告白している。そんな高田さんを立ち直らせたのは、言葉の力だった。「すべては良くなる」「困ったことは起こらない」「過去は思わず」。これらの言葉を自らに言い聞かせるなど、言葉の力で元気を取り戻した。▼「私たちの心を変えることができるのは言葉の力です。…私たちの心は、自分を目覚めさせ、刺激してくれる正しい言葉を聞きたがっているのです」(『元気が出る禅の名言』)。言霊(ことだま)というが、言葉に宿った魂は、人の魂を揺すぶり、人を救う。▼9月16日まで自殺予防週間だ。高田さんのように、うつに苦しんでいる人たちが、すばらしい言葉に出会えることを願う。(Y)

 

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