写真家大石芳野さん

2011.10.13
丹波春秋

 篠山市今田町出身の下中弥三郎没後50周年記念イベント(同市で11月12―13日)で「私のみた篠山」という発表を予定している写真家、大石芳野さんが立杭の窯元など市内各地の取材をする案内役を買って出た。▼ベトナム、カンボジア、アフガニスタン、チェルノブイリなどで女性や子供を撮り続けてきた彼女は、世界平和アピール七人委員会のメンバー。17年ぶりの再会だったが、その仕事ぶりにはずっと注目してきた。▼普段何気なく見過ごしている風景が、彼女の眼にかかると「えっ、こんな所が?」というほどの輝きを放つ。これはという取材対象には何度も通ってとことん食らいつく。20分ほどの発表のための4日間の滞在費や旅費はすべて自弁。▼スライドショーなので主にデジタルカメラを使い、慣れないのか我社の記者に「これはどうするの?」と操作法を訊いて恐縮させていたが、普段はほとんどライカのフィルムカメラを使う。素早い手さばきでフィルムを入れ替え、「ビュイン」と巻いては「カシャッ」とシャッターを押す音が小気味良い。▼光線の加減をすごく気にしていた。フィルムは今やプロの写真家でもほとんど使わないそうだが、「デジタルのように自在に修整がきかないからこそ、真実が撮れるのでは。なかなかわかってはもらえないけれどね」。(E)

 

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