諸田玲子さん

2011.11.10
丹波春秋

 歴史小説家の諸田玲子さんが先月に筆者らも同行し黒井城跡(春日町)に登ったことを、日本経済新聞2日号夕刊コラム「あすへの話題」に書いておられる。▼子どもの頃、郷里の静岡の山に登った楽しくも恐ろしい思い出に触れ、「生も死も呑みこんで、山はなお、泰然としている」。▼そして「さんざん手こずらされたあと城を手に入れた明智光秀も、城主となった斎藤利三も、ほどなく戦場の露と消えた」。「白い狼煙(のろし)が上がり、軍旗の群れが見えたような…。昔、この同じ場所で、合戦の行方に胸を昂ぶらせた人が、たしかにいた」。▼「思い出と共に登った道を、栄枯盛衰を想いながら下りた」諸田さんは途中、「赤門」の展望所で案内役のAさんの指し示す向かいの朝日城や、茶臼山など明智方の陣地の方向を眺めながらじっと耳を傾けていたが、筆者はただぼーっと聞いていただけ。昔確かに赤井一族や光秀らがここを駆け巡っていた姿には、とても思い及ばなかった。▼「美女いくさ」で織田信包や佐治与九郎を温かく描いて下さった諸田さんに、田捨女(貞閑尼)や赤井悪右衛門についてもぜひ描いてほしいと以前からお願いしているが、まだ確たる返事は頂けていない。それでも「悪右衛門」にはすかさず「まぁ、魅力的な名前!」と言われた。楽しみである。(E)

 

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