野生動物

2011.11.26
丹波春秋

 南アフリカでの加藤登紀子コンサートの後、野生動物を探索するサファリの旅に。ヨハネスブルクから280キロ離れたエンタベニ自然保護区は一面見渡す限りのサバンナ。15人乗りの頑丈な4輪駆動車に乗り込む。▼10頭ほどのライオンの家族に出会った。主の父親7歳の前を、子連れの妻ライオンが3頭通り過ぎる。狩りは妻の仕事で、父親はでんと構えているだけ。少し離れて、たてがみが立派になった息子。一見平穏そうだが、いずれ彼は他の場所を求めて家を出、父も年取るとよその若ライオンにとって代わられる宿命とか。▼筆者は参加できなかった別のグループが、2頭の兄弟チーターがシカに似た動物をハントして交代で食べている場面に遭遇。折角の獲物を他の猛獣に横取りされないか、見張りをしているのと眼が合い怖くなったと、目撃した女性。▼北隣の国、ボツワナのチョベ国立公園では、大河を象が集団で渡っていた。島まで着くと一斉に砂を身体にかけて乾かす。カバの家族は先頭の母親が後ろ向きに子供の体をなめなめ泳いでいる。後尾の父親が近づいた我々の舟を、ものすごい形相で追いかけて来た。▼象にかじられあちこちに倒れる枯れ木や岩も、皆動物に見える。きらきら光る太陽の下、この地上のものは、無論我々も、元々は一体だったのだ。(E)

 

関連記事