親子の絆

2011.12.17
丹波春秋

 「16年前の阪神淡路大震災。1週間後に実家に帰った私の頭を、何も言わずにくしゃくしゃとなでてくれた父。その手の重さと温かさを今でも覚えています」(40歳女性)。震災に遭った娘の身を父親はさぞ案じたに違いない。なのに何も語らず、ただ娘の頭をなでる。それは無言の愛のメッセージであり、娘もそれをしっかりと受け止めた。▼冒頭の言葉は、丹波市人権・同和教育協議会が先ごろ作成した冊子「親へのメッセージ」に収録されているものだ。冊子にはこのほかにも、きらめく言葉が多数ある。同協議会内の各種部会のメンバーが寄せた言葉だ。▼「ワガママでも、ひねくれていても、愛してくれて、ありがとう」(30歳女性)。子に寄せる親の愛は深い。時にそれがうっとうしく思うこともあるが、心の底では感謝している。「老いてきたお袋にそっけない態度をとってるけど、いつも心の中では『ありがとう』」(50歳男性)。▼「いろいろと裏切ってきたのに、ウソだとわかっていても、いつも信じてくれた母。自分の子どもの言葉、ずっと信じてやれるだろうか。あなたと同じように信じてやろう」(48歳男性)。親は最高の教育者でもある。▼親のない人はいない。親がいたからこそ今の私がある。そう思うと、親子の絆は宿命的であり、果てしなく深い。(Y)

 

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