青竜

2012.01.07
丹波春秋

 丹波市市島町の石像寺に、「四神(しじん)相応の庭」がある。庭造りの第一人者、重森三玲の手によるもので、青竜、白虎、朱雀(鳥)、玄武(黒い亀のごときもの)になぞらえた石を配している。丹波地域きっての名園として知られる。▼この四神相応の庭は、中国にあった習慣に由来している。色を、方位や季節、動物と関連づけるものだ。青竜が示すように青といえば、その動物は竜であり、方位は東、季節は春とされた。だから人生の日の出の時期を青春というのであり、青春の真っただ中にある若者は竜のような勢いがある。▼とはいえ、昨今の若者を取り囲む環境は決してたやすいものではない。現下の就職難に加え、膨大な国の借金によるしわ寄せ、社会保障の負担の重圧など、現在はもとより先行きにも閉塞感が漂う。▼しかし、若者たちには本来、竜のような力が備わっている。孔子が「後生(こうせい)畏(おそ)るべし」と言ったのも若者の力に期待したからだ。これから社会を支えていく若者たちには、将来性や可能性があるのだから、たくましい人材に成長してもらいたいと、孔子は若者たちにエールをおくった。▼今年は辰年。天空に向かって雄々しく立ちのぼっていく竜のように、未来に向けて力強く歩んでほしい。明日は「成人の日」。(Y)

 

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