復興

2012.01.12
丹波春秋

 宮城県気仙沼市の三陸新報社から元日号が届いた。「市の復興計画 10年間を目標に事業本格化」「気仙沼港 近海船再生へ一丸」「生き残ったメカブから養殖ワカメ復活」「復興屋台村がオープン」といった記事が並ぶ。▼小学5年生41人が夢を描いた中に、「みんなを笑顔にできるカフェを開いて被害に遭ったひとを喜ばせたい」。▼「ボランティアでなくても訪ねていいの?」という旅行者を募り、復興に立ち上がる商店主らとの交流をはかる気仙沼市の若者サークル。南三陸町では「語り部ガイド」が始まった。被災現場に案内し、そこで起きたストーリーを話して聴かせる。「ガイドをしながら今でも涙が出る」と、実母を亡くした女性メンバー。▼復興の様子が少しずつ目に見えてくるようではあるが、新報社の渡邉眞紀専務は「現実はまだまだ厳しい」と漏らす。同紙の部数は震災前の8割強にまで回復したものの、まだ全く配達できない沿岸地域も。失業保険の給付が間もなく期限切れになる読者も少なくない。▼佐藤仁・南三陸町長はインタビュー記事で「これまで付き合いのなかった全国の人たちとの『絆』をいっぱい感じた。それがなかったら、とっくに心は折れていた。一番怖いのは震災の風化。お茶やお酒の席でも、被災地のことを話題にしてほしい」と話している。(E)

 

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