作文

2012.01.19
丹波春秋

 力作揃いの元日号「ぼくとわたしの文芸集」の中で、作文「私のお兄ちゃん」(吉見小6年、高見百々さん)に感動した。大学生のお兄ちゃんが百々さんの学校へ教育実習に来た話。▼「嬉しい気持ちと不安な気持ち」になった。兄さんが「あ」行の言葉がスムーズに出てこなく、人前で話すのが苦手だからだ。以前に「どうして先生になりたいと思ったん?」と聞いたら、「小学生の時、少しどもる先生がいて、とても温厚でいつもみんなを見守ってくれている感じがして、言葉のことなんて全く気にならんかった。いつかあんな先生になりたいと思ったんや」と打ち明けてくれた。▼「先生という職業は人前で話ができて当たり前かもしれんけど、ハンディを持った人でも一生けん命頑張っている先生がいてもいいんやないか」とも。お母さんも兄さんのことを「何度もはずかしい思いをしてきたやろうに逃げ出さんと、えらいなぁ」とほめ、自分も本当にそう思った。▼実習の日が来て、初めてのあいさつを緊張しながら待ったが、やっぱり言葉がなかなか出て来ず、「頑張れ」と心の中でつぶやいた。でもあいさつがすむと、またいつものお兄ちゃんにもどっていた。▼ピアノやクラリネットが上手で声楽も習う兄さんに、評者の先生も夢が実現するよう声援を送っている。(E)

 

関連記事