政界の敬語

2012.02.09
丹波春秋

 田中防衛大臣の資質など今さら云々しないが、ひとつだけ、やはり書いておきたい。沖縄防衛局長の投票講話について「(私も)省内の方々も知らなかった」という言い方。▼ここは「方々」ではなく、「者たち」だろう。全省を統率するトップが、まるでお客さん。「官僚を使いこなす政治家」からは程遠いが、この類のことは、田中氏に限られたことではない。▼何度も書いたが、永田町の人たちの敬語、謙譲語の使い方は中学生以下。世間のどこの会社に、外部の人に「…と社長がおっしゃっています」と言う重役がいようか。以前、自民党のある若手議員がテレビで「…と石原(現幹事長)が」と、先輩なのに敬称抜きで話していたのが新鮮に聞こえた。でも、その言い方で至極当たり前なのだ。▼ただ言葉の問題ではない。大臣ポストはお客さん。身内でも政敵でも、先輩でも後輩でも「先生」と呼び合う世界。人間関係ばかり気にし、肝心の政策は二の次。その結果、危機感のないままに増税であれ何であれ、自分の意思で決めるのでなく、あなた任せのなりゆきで決まっていくのではないか。▼とは言え、責任を政治家のみに押し付けるべきでない。現下の状況、国民一人一人がしっかり考えないと、本当に、日本はあれよあれよと言う間にギリシャになってしまうよ。(E)

 

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