負の問題

2012.05.10
丹波春秋

 竜巻なんて、アメリカかどこかの平原や広い海岸で発生するものとばかり思っていたが、何ともおったまげた。日本の商店街を襲い、電信柱をなぎ倒し、車を吹き飛ばし、5階建ての住宅を廃墟の如くしてしまうとは。▼以前にも書いた映画「デイ・アフター・トゥモロー」をまた思い出した。冒頭、南極の氷床にクレパスのような亀裂が走るシーンの後、一転して東京の街頭にゴルフ球のようなひょうが降りつける。フロリダを巨大ハリケーンが襲い、続いて何本もの超巨大竜巻がロサンゼルスの高層ビル街を身ぐるみはがして鉄骨群に変えてしまう。▼これほど劇的ではないにせよ、ここ数年、実際に起きたことばかりではないか。映画では、極地の温暖化が海流の変化をもたらし、主人公の気象学者が「100年後にも」と恐れていた寒冷化が一気に進む。▼現実世界でも「CO2濃度の増加があと20年も続けば引き返しがきかない段階に」と警告されているが、一連の現象は「異常」というより、これから恒常化していくと見た方がよさそうだ。「地球温暖化」というより、「気候変動」問題と表現するべきでは。▼対策の切り札のように言われていた原子力発電も重大な負の問題を抱えることに気付かされた今、やはり太陽光など自然エネルギーに最大限の努力を注ぐことが必須だ。(E)

 

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