誇るべき国民性

2012.06.23
丹波春秋

 恥ずかしい話だが、「五月晴れ」とは今頃の晴れ間であることを最近になって知った。さわやかに晴れ渡った5月の空も五月晴れだが、この五月は陰暦五月のこと。今とほぼ1カ月ずれているので、もともとは今頃の、梅雨の間のつかのまの晴れ間を五月晴れと言ったようだ。▼五月晴れには、晴れ間を喜ぶような語感がある。晴れ間がうれしいのは、じめじめとし、心も体もどんよりとする梅雨だからだろう。「五月雨は腹の中まで腐らせる」という言葉がある。五月雨とは梅雨のこと。梅雨という季節は、どうも気がめいるものだ。▼四季がはっきりしている我が国だが、四季が明瞭とは、夏と冬の気温差が大きいということ。それは、梅雨も含めて、気候条件が厳しいことであり、「日本は実は、過酷な生存環境にある」と、養老孟司氏はいう。そんな厳しい環境の中で、我々は我慢強さを養ったとも指摘する。▼「おのれを虚(むな)しくして、何事も辛抱我慢すること。…この真理を、日本人ほどあまねく会得している国民はほかにないだろう」と書いたのは、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンだ。我慢強さは日本人の誇るべき国民性だと、ハーンは言った。▼梅雨が明ければ、本格的な夏を迎える。今年も節電の夏だ。先祖の我慢強さを引き継いでいるかが試される。(Y)

 

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