権威失墜の時代

2012.07.21
丹波春秋

 私事ながら先日、丹波警察署で署員の方々に話をする機会をいただいた。当方で考えさせてもらったテーマは「警察官の権威」。戦後、権力が否定される風潮の中、権力とは意味の異なる権威も一緒くたにされ、否定する傾向が強まった、との話から始めた。▼社会学の定義によると、権威とは「複数の人間から自発的で盲目的な服従を引き出す力」のこと。人々をして自ら従わせる力をいう権威は、一つに地位に由来するものがある。肩書、職種、家柄などだ。▼もう一つに、個人の属性に由来するものがある。人間としての魅力、識見、技術、特異な能力などだ。「あの人は人間性が豊かだ」「あの人の能力は卓抜している」。こうした評価が多くの人の間で高まると、従う人々も同時に増え、権威を持った存在となる。▼現代は権威失墜の時代だ。その現れとして、教育や医療の現場で、理不尽な要望をつきつける人々の行動が社会問題化している。権威失墜は警察官も同様らしく、パトカーを壊すなどの公務執行妨害が昔と比べて増えたらしい。▼こうした権威失墜の波にいかに抗するか。権威の源泉の一つである地位の力が弱まった今、個人の属性である人間的魅力や識見、能力を磨き、高めるよう努めるしかない。もちろんこれは、警察官だけにとどまる話ではない。(Y)

 

関連記事