反原発市民デモ

2012.08.30
丹波春秋

 上京の折、毎金曜夕方に行われる反原発市民デモに国会前へ。参加と言えるのか、とにかく地下鉄の駅を出たら身動き出来ないほどの群れの中にいた。▼筆者の原発に対する考えは、「出来る限り早期にゼロに」だが、現実に相当の困難を伴うことは承知している。スウェーデンは「2010年までに全ての原子炉を閉鎖」という国会決議をしたものの、実際には2基にとどまっている。ドイツやイタリア、スイスでも政府が脱原発を打ち出しているが、欧州大陸内で電力の融通がきくという背景があってのことだ。▼しかし、強い放射能を出す使用済核燃料の再処理施設がいっこうに稼働出来ず、地中深く埋め立てようにも場所の確保はとても無理。まして地震の多い日本では原発のコストは安いどころではとてもなかろう。▼電力会社は必死で原発にしがみついているようだが、自然エネルギーへの転換に向かって、たとえ困難でも資金と技術と人材を結集してこそ、生き延びる道が開けると思う。▼デモなど1970年代、労組員時代に動員されて出て以来だったが、今度のは随分違う空気を感じた。皆、自分で作ったカードを掲げ、筆者のように「見てみよう」気分の人も少なくなさそう。でも、こんな一見静かな運動が大きなうねりを引き起こしていくのかも知れない。(E)

 

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