睡眠

2012.09.01
丹波春秋

 丹波市の調査によると、不眠傾向にある人が市内では4人に1人の割合でいるらしい。全国調査を上回る数値で、市では「ぐっすり・すやすや運動」を展開するという。不眠の理由はいろいろだろうが、思い煩うことがあって寝つけない人も少なくなかろう。▼私も、人並みに悩んだ頃、ちょっとした不眠傾向にあった。そんなときに出合った言葉に、心が開かれる思いがした。「寝るなら寝なさいよ。寝床に何しに行くんだ。考えに行くんじゃなかろうが」。生き方を説き、各界に師事する人がいる中村天風氏の言葉だ。▼人生の出来事は、すべて自分の心が作り出すものであり、心が積極的であれば、明朗ではつらつとした人生になると説く天風氏。心痛や悲観が忍び込んできた就寝時には、つとめて消極的な思いは振り払い、「嘘でもいから、俺は優れた人間だ、俺は思いやりのある人間だ」と思えばよく、「神の懐の中に入ったような、穏やかな気持ちになること」と説いた。▼寝床は寝る所。考える所ではない。キリストにこんな言葉がある。「明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日みずからが思い悩む」。釈迦も言う。「過去を追うな。未来を願うな。過去はすでに捨てられた。そして未来はまだやって来ない」。▼不眠に悩む人に少しでも参考になれば、幸い。(Y)

 

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