政治不信

2012.12.15
丹波春秋

 衆院選の投開票日を迎え、ある言葉を思い起こす。「最悪の政治家を決めるのは実に難しい。これこそ最悪の奴と思ったとたん、もっと悪い奴が必ず出てくる」。1929年に没したフランスの政治家、クレマンソーの言葉だ。昨今のわが国の国政を見ていると、悲しいかな、この言葉の真実味が増す。▼孔子も、似たような言葉を述べている。弟子から「今の政治家についてどう思うか」と聞かれた際、孔子は「どれもこれも小物ばかりだ。話にならん」と切り捨てた。はるか昔、孔子の時代から、政治家に対する失望感があった。▼そう思うと慨嘆のかぎりではあるが、それにしても小泉元首相後、6年間で首相が6人もかわったわが国の政治は貧弱極まりない。多党化も政治の混迷や停滞が現われたものであり、巷には政治に対する不信、幻滅が渦巻いている。▼投票に当たって、消去法で候補者や政党を選ばざるを得ない人も多くいよう。消去法は後ろ向きの選択だが致し方ない。▼わが国では「否定の政治」が続いている。国民の支持もやがて失望に変わり、否定される。その繰り返しだ。否定をすることで、発展が望めるのならば幸いだが、発展への期待が持てない中での否定。「否定の政治」の行きつく先はどこなのか。そんな思いを持ちながら、投開票日を迎えた。(Y)

 

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