思い出

2013.02.23
丹波春秋

 柏原町にあるボウリング場が近く閉店するという情報に接し、寂しさを覚えた。オープンしたのは1970年。テレビではボウリングの放送があり、中山律子さんら女性プロボウラーのプレイに釘付けになった。当時、私は小学6年生。柏原のボウリング場に連れて行ってもらうと、人でごった返していた。▼高校生になり、定期考査が終わると、友達とボウリング場に繰り出した。平日の午後、人の姿のあまりないボウリング場で大声を出し、試験勉強でたまっていたストレスを発散した。▼高校時代の思い出が残る場所だったが、振り返ってみると、そんな思い出の地が柏原の町なかから姿を消した。高校生向きに値段の安いめん類を提供してくれた食堂は、放課後になると、高校生のたまり場となったが、すでにない。帰りの汽車の待ち時間によく立ち寄った本屋も、駄菓子屋も喫茶店も店を閉じた。▼高校に通っていた頃、校舎の中にだけ学生生活があるのではなく、周囲の環境と共に学生生活があったと思う。高校を卒業し、初めて開いたクラス会の会場は、高校時代なじみの食堂だった。その食堂も母校の一つだったからに他ならない。▼町の風景が変わるほど、高校を卒業してから長い歳月が流れた。そんな思いを呼び起こされた今、高校は卒業の季節を迎えた。(Y)

 

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