「ありがとう」の言葉

2013.04.04
丹波春秋

 3月28日号の特集紙面は「母校よありがとう」や「ありがとう大賞」など、「ありがとう」の言葉があふれた良い紙面だった。ところで、ある会社から送られた販促紙のコラムに「『ありがとうございました』という日本語はおかしいのではないか」と書いてあった。▼「『その節はお世話になりました。ありがとうございます』が縮まって『ありがとうございました』となったようだが、過去形で話すと、『その時は感謝していたが、今はそれほどではない』という意味になる」という。▼「戦後、あるデパートで使い始めてから、間違った使い方が広がった」ともあった。一見、理屈が通っているようだが、でもちょっと違うのではないか。▼ご馳走になって帰る時は、やはり「今日はありがとうございました」、翌日になれば「昨日はありがとうございました」である。この場合は過去形ではなく、現在完了形。つまり「感謝して、その状態が今も続いている」という意味なのだ。日本語は英語と違って現在完了形が過去形と同じ言い方であるため、かのコラム筆者のような誤解を生むのではないか。▼それよりも春秋子が気になっているのは、「先日はありがとうございました」と言う人が近頃めっきり少なくなったということだ。外国では滅多に聞けない日本人特有の美しい表現なのに。(E)

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