告白をしない男子

2013.04.20
丹波春秋

 氷上町在住の日本仲人協会会員の本田哲夫さんが、弊紙に「当今結婚事情」を連載している。連載1回目で晩婚化を示すデータが載っていたが、ある調査によると、「結婚する必要はない」と考える男女は年々増えており、全体で6割ほどという。▼誰かを好きになっても、その気持ちを告白しない男子は半数以上にのぼるという調査結果もある。晩婚化だけでなく非婚化も裏付ける調査だが、告白しないのは、もし断られると自分が傷ついてしまうから、との見方がある。恋することに臆病ないまどき男子の生態が垣間見られる。▼芥川龍之介の『侏儒の言葉』に、健全なる理性は「爾(なんじ)、女人を近づくるなかれ」と命令するが、健全なる本能は「爾、女人を避くるなかれ」と命令する、という言葉がある。告白をしない男子は、この健全なる本能が弱まっているのかもしれない。▼イソップ寓話に、ゼウスが人間をつくったとき、恥の感情を入れることを忘れてしまったという話がある。それで恥に、人間の中に入っていくように命じた。その指図に、恥は「もし恋が入ってきたら、私はすぐに出て行きます」と答えた。恋した者は、恥を忘れることを物語る寓話だ。▼健全なる本能を取り戻し、恥を恐れるな。人を好きになっても告白しない男子に、そう忠告したい。(Y)

 

関連記事