橋下大阪市長

2013.06.06
丹波春秋

 橋下大阪市長が従軍慰安婦について持論をぶっているテレビ画面のバックのボードには「消防隊募集」とか「消費者センター」云々の文字。大阪市役所の会見場だからそれはそうなのだが、どこか違和感を感じた人は少なくなかったのでは。▼歴史認識や国際問題について、自治体首長が発言してはいけない、と言うのではない。まして橋下氏はれっきとした中央政党の代表の一人だ。しかしながら、彼が地方選挙を通して政界に出たのである限り、やはり軸足が地方の方にあるべきなのは当然だろう。▼発言内容について、ここでは論じない。ただ、彼自ら言い出したことが内外にこれほど波紋を投げかけている事態を、大阪市民たちはどう見ているだろうか。▼彼が市長選挙で勝ったのは、「大阪都」構想を初め、従来の市政の枠を突き破り、国の自治政策に風穴を開ける、そのことを通して国の仕組みをも変革していこうという考えが共感を呼んだからであり、国政選挙でもそれを全国に及ぼしていくかもしれないという点で期待を集めたのではなかったか。▼しかしながら、それらの構想は今、ことごとく暗礁に乗り上げているのが実情だ。その焦りとして、今回のことが起きたのか、はたまた、世間から注目を浴びたい一心が彼の本質だったのか。いまだによくわからない。(E)

 

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