富士山

2013.07.04
丹波春秋

 世界遺産になった富士山の「登山競争」が毎夏開かれ、山梨県富士吉田市役所から山頂まで21キロ(高低差3000メートル)を走る。途中の5合目までのコースと併せて3~4千人が出場し、トップの選手は2時間半で駆け登るが、大衆ランナーは4時間たっぷりかかる。▼筆者も30歳代半ばの頃、一度挑戦したが、10キロほど行って2合目(別名「馬返し」)を過ぎた頃から足が上がらなくなり、歩き同然で5合目までたどりついた。ちょうどその時、雷雨が降り出し、レースは打ち切りに。しかしそういう事情なので「山頂コース」の完走証は発行してもらえた。▼ところが、しばらく雨宿りをしているうちに雨がからっと上がってきた。今後そう機会はなかろうと思い、自分だけでレースを続行することに。とは言え、ここからはこれまでにも増して急な、しかも上り一直線の道となって、なおさら走るどころではない。ゴールインした時は優に6時間を超えていた。▼もしレースが公式に予定通り続けられていたら、5合目から間もなくして制限時間にひっかかっていたはずだが、雷雨のお蔭で名実ともに「完走者」となることが出来た。▼それにしても、富士山は頂上に近づくほど褐色ばかりでごみっぽく、美しさとは程遠い。やはり見る山。三保の松原辺りから眺めているのが一番だ。(E)

 

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