愛着

2013.07.25
丹波春秋

 18日号本紙「てぃーたいむ」で土性里花さんが「22歳の冷蔵庫を今も愛用している」と書いていた。また百円均一商品のざるとボウルのセットを、やはり22年前に買って毎日使っているとも。新婚の頃の思い出が詰まっていて、手離せないらしい。▼読みながら思い出したのは、以前観た「天空の草原のナンサ」という、モンゴルの遊牧民一家を描いた映画のシーン。夫が町で買ってきたプラスチックのボウル、それこそ日本なら百円ショップで売っているようなのを、妻が「きれいね、便利ね」と飽かず眺めていた。▼商品があり余る日本では、故障すればすぐに買い替える。修理に出そうと店に持って行っても、「新品を買った方が安いですよ」と言われ、その気になってしまう。▼一方で、愛着を感じるが故に捨てがたい製品もまれにはある。筆者がつい先日まで使っていた腕時計は32歳。初めて海外出張する時に新調したもので、大枚をはたいたせいか、結構長持ちした。最後の数年は息絶え絶えなのを、時計屋さんが根気よく面倒見て下さり、「何とか30歳まで」と持ち続けて2年を越えたが、ついに力尽きた。▼デフレ脱却、成長第一、消費拡大。持ち物への愛着は、今はやりのそういう風潮に対しては反することになるのかもしれないが、でもやはり大事にしたい。(E)

 

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