女優・片桐はいり

2013.08.08
丹波春秋

 すっかり、片桐はいりのファンになった。NHK朝ドラ「あまちゃん」で初めて見た女優。チョイ役なのにすごく存在感がある。主人公アキ(能年玲奈)の海女仲間だったが、今は東京で屋台のそば屋をし、アキの出る場面に時々登場。コミカルに引き立てている。▼彼女を美人とは、まず誰も言うまいが、絶対忘れられないほど個性的な顔。「幼い頃から寅さんの娘と呼ばれた」とか「松坂慶子の整形前の役を演じた」と彼女自身が本に書いている。▼筆者の周囲に聞くと知っている者が多く、テレビに色々出ているようだ。映画でも準主役を務めたと聞き、そのうちの1本「かもめ食堂」のDVDを買い求めた。▼フィンランドのヘルシンキに出店した小さな和食レストランが舞台で、なかなかに魅力的な作品。客たちのご飯を食べる時の顔がすごく幸せそうで、はいりはウェイトレスの役を三枚目でなく淡々と演じていた。また「片桐はいり4倍速」というDVDは実に珍妙な短編集で、彼女の顔を十分堪能させる。▼先述の本の題名は「もぎりよ今夜も有難う」(キネマ旬報社)。彼女は若い頃ずっと、銀座の名画館でもぎり嬢をやっていた。五十路を越えたが、これからまだ大化けするのでは。「あまちゃん」のキャストに名前が入った日は、画面に身を乗り出して見入っている。(E)

 

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