東京五輪

2013.09.19
丹波春秋

 東京五輪が決まり、世間はお祭りムード一色。新聞・テレビが沸き、株価も上がっている。スポーツ好きの筆者も無論嬉しい。開幕したら観に行くかもしれない。とは言いながら、どこか複雑な気持ちであることも否めない。▼テレビで仮設住宅の人が「被災地のことを忘れないで」と遠慮がちに言っているのが印象に残った。原発は汚染水の問題に限らず、収束したとはとても言えない状態。安倍さんが「安心してもらえるよう全面的に責任を持つ」と言っても、何しろ相手は原子力である。▼臨海部に作る選手村は6メートルかさ上げするそうだが、それで津波は大丈夫なのか。今でも激しい東京の交通渋滞は、ますますひどくなるのでは。今の財政で「復興も五輪も」本当にやっていけるのか。「ぐだぐだ心配ばかりしていては、何もできないではないか」と言われたら、確かにその通りなのだが…。▼筆者と同じ気持ちらしい東京の友人が「ひとつ嬉しかったのは、日本もまだ信用されていることがわかったこと。それから、もし福岡あたりが開催場所だったら、もっと嬉しかったろうに」と話した。▼日本では、世界と競争できる町が東京しかないのも現実である。「東京一極集中は問題」と、ひがむのもやめよう。今はただ、日本が世界からの信頼を決して裏切らないようにと、祈るばかり。(E)

 

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