東大名誉教授 大木道則さん

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ノーベル賞級の研究
東大名誉教授 大木道則さん  (東京都練馬区在住)
 
(おおき・みちのり) 1928年 (昭和3年) 久下村 (現山南町) 生まれ。 旧制柏原中、 大阪高校、 東大理学部卒。 米イリノイ大留学。 東京都立大を経て、 東大理学部教授。 99年に岡山理科大教授を退職、 客員教授に。
 
 世界でもトップレベルにある日本の有機化学。 その基礎的研究で世界的に知られ、 ノーベル化学賞の候補約200人の中に挙げられるほどという。
 物質の最小単位である原子のつながり 「分子」 は絶えず動いている。 これを止めたらどうなるか、 と実験をくり返し、 「回転する分子はそれぞれに性質が異なる」 ということを明示した。 学生のころ、 先生から聞いた百年来の仮説を、 「よしこれをやってやろう」 と実証研究に取り組み、 昨年完成。 現役を退いた現在も、 論文の仕上げにエネルギーを注いでいる。
 30年前、 東大教授の現役時代、 丹波新聞のインタビューで学生の無気力について言及したことがある。 「今はもっとひどい。 大学が入るためのものになり、 勉学する所ではなくなっている」 と嘆き、 「このままでは日本の将来はない」 とまで断じる。
 教育にも深い関心を持つが、 文部科学省の 「教育の第一の目的は文化の伝承」 というのが気に入らない。 「既存の知識の伝達だけでは考察力、 表現力を培えない」 と辛口で話すので、 最近は教育審議会にお呼びがかからなくなったとか。
 「知識の吸収のみに偏る日本の教育は、 途上国時代の名残。 科学の研究に不可欠な発想と創造力が育てられない。 最近のテレビ番組で、 不登校の子どもが 『なぜ学校に行かなければならないか』 と聞くんですが、 父親は答えられない。 自分で考えない、 重要さを見極める能力がない、 そんな日本人を象徴していますね」。
 以前は5年に1回ほどノーベル賞の推薦委員になり、 有機化学の分野で推薦した外国人3人が受賞したほか、 福井謙一博士をまだ若いころに推薦したことも。 今年のノーベル賞受賞者の小柴博士とは同じ学部で、 教授会でいつも顔を合わせていた間柄。
 専門分野を初め膨大な量の論文、 研究書を日々読みこなしながら、 丹波新聞にも毎号目を通す。 「これから人口が減少に向かう中で、 故郷の皆さんがそれぞれがんばっておられる様子は、 心強いですね」 と微笑んだ。

(上 高子)

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