カンボジアのランポック村の小学校に校舎を贈った円応教の落成式訪問団に同行した。

2006.12.27
丹波春秋

カンボジアのランポック村の小学校に校舎を贈った円応教の落成式訪問団に同行した。途中でバスを小型の車に乗り換え、赤い土ぼこりを立てながら田んぼ道を行った先にあった。▼以前の校舎は奥の面だけをヤシの葉で覆った、トタン屋根の小屋で、20人も入ればいっぱい。子どもたちは大半が裸足だった。遠くの井戸へ水汲みに行ったり、牛の世話などを手伝わなくてはならず、学校へ通えるのは7割くらいという。▼それでも皆、元気だ。合唱の後、1年生が一人で歌うのを大人たちがくすくす笑うので、ガイドに聞いたら、「貧乏人の僕だけど、彼女は何故つれない」という、今流行の歌。家には電気も来ていないが、テレビだけはどこにもあって、バッテリーで見られるそうだ。▼新校舎のピカピカの黒板に、引き算の数字と並んでたくさんのカンボジア文字が書いてあり、「Aさんの家で収穫した米の量はBさんの家よりどれくらい多かったでしょう」という意味だと教わった。▼この国は1970年頃からずっと内戦が続き、村人が大量虐殺で名高いポルポト政権におびえていた時期も。平和に、安心して田んぼを作れるようになったのは、ほんの10年ほど前のことなのだ。子どもらの澄んだ目を見ながら、「日本の子どもたちは何と恵まれていることか」と、切なくなった。(E)

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