テレビに出演し茶の間でもおなじみの小説家、江上剛さんが今年4月発行の柏原高校同窓会報に回想記を寄せていた。

2006.12.19
丹波春秋

テレビに出演し茶の間でもおなじみの小説家、江上剛さんが今年4月発行の柏原高校同窓会報に回想記を寄せていた。柏原高校に在学中、「大江健三郎、椎名麟三、サルトル、ドストエフスキー、ニーチェ、キルケゴール、カミュなどを一生懸命読んだ」という。▼高校では文芸部に所属。部員たちの猛烈な読書量に脱帽したそうだが、自身の読書量も相当なものだ。回想記には「今、プロとして仕事ができるのは柏原高校文芸部時代があったからだ」とあり、若いころの本との出会いが小説家の礎を築いたことは想像に難くない。▼若いころ、本をむさぼり読むのは貴重な体験だ。お茶の水女子大学の藤原正彦教授は一年生を対象に読書ゼミを行い、主に岩波文庫を毎週一冊ずつ読ませているという。骨の折れるゼミだが、読み進むうちに学生たちは、本の向こうにある世界の広さに気づき、「もっと本を読まないと、無知もうまいのまま人生が終わってしまう」とめざめるそうだ。▼本日号の紙面から丹波地方の小中学生の読書感想文特選作を順次、掲載する。作品からは本に親しむ子どもたちの姿がうかがい知れる。▼もちろん、読書は子どもや若者だけのものではない。長じても本に親しみたい。肉体の糧は食事や運動から得られるが、精神の糧を得るには読書が最良で手近な方法だ。(Y)

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