昨春柏原、篠山で大好評だった創作オペラ「おさん茂兵衛丹波歌暦」が、1年ぶりに西宮の県立芸術文化センターで上演された。

2006.12.27
丹波春秋

昨春柏原、篠山で大好評だった創作オペラ「おさん茂兵衛丹波歌暦」が、1年ぶりに西宮の県立芸術文化センターで上演された。おさん役を足立さつきさんに代って中村朋子さんが健気に演じ、十分穴を埋めた。▼村人衆目の中、捕まった2人が引き連れられていくクライマックス。筆者は昨年コーラスで舞台に立ち、ビデオも何度も目にしていたのに、涙が勝手に出て来るのを抑えられなかった。近くの客席でもハンカチを取り出す人が多く、カーテンコールの拍手が丹波に劣らず鳴り響いた。▼切符は丹波の人もあまり買えないくらい、早くから完売。ロビーに出てきた井戸知事(実行委名誉会長)に、「一回切りでなく、何度も公演してくださいよ」と頼み込む女性客もあり、おさん饅頭や酒は全部売り切れた。▼演出の芦田鉄雄氏はすでに前回から病魔を押して奮闘されていたが、今回は稽古に入る前から入院し、11月に他界。直接の指揮は一度も取れなかったが、病床で演出補の佐々木しゅうさんに最後まで細かく注文を付けていたという。生命を賭した執念が再度の成功につながったと思う。▼実行委は、次は花のウィーン公演をめざし、夢はどこまでも膨らむ。ばく大な費用をどうするか、ハードルは実に高いが、浅倉陽子さんら実行委の女性パワーは案外乗り越えていくだろう。(E)

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