「生誕250年」のモーツァルトの音楽がラジオなどから毎日のように流れている。

2006.12.27
丹波春秋

「生誕250年」のモーツァルトの音楽がラジオなどから毎日のように流れている。先日、大阪で開かれたコンサート形式の「オペラ名場面集」を聴きに行った。▼筆者がモーツァルトにひかれるようになったのは以前、「アマデウス」という映画を観てから。そこには、大天才には違いないが、意外な人物像が描かれていた。かつらを毎日取り替えるほどお洒落で女好き。そのくせ酒を浴びるように飲み、大司教、皇帝といった偉い人の前でも一向に物怖じしない。▼この映画では、モーツァルトに凡庸さを馬鹿にされていた当時花形の音楽家サリエリが嫉妬の挙句、病身を押して曲を作り急ぐ彼に巧みに近づいて過労死に追い込む。▼この部分はどうやら映画を盛り上げるためのフィクションだったようだが、しかしモーツァルトが決して謹厳実直な人生を送ったのではなく、よく言えば奔放、悪く言えば放縦、同情的に見ても世渡り下手な人だったらしいことは、他の書などからもうかがえる。▼ただその分、彼の音楽には時代を超越したところがあり、天才に任せた技巧と共に大衆がついて来られなくなり、不遇に陥ったために死を早める結果になったと言えるかもしれない。そう思って聴き直すと、ただ流れるように心地良かった旋律の奥に、何やらうごめいているものが垣間見える。(E)

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