「別れは出会いの始まり」。

2007.01.21
丹波春秋

 「別れは出会いの始まり」。―22日号本欄で触れた「ツーリズムフォーラム」で、大分県安心院町の宮田静一さんに教えられた言葉が、今年一番印象に残った。▼同町は村ぐるみ農家民宿に取り組み全国的に注目を浴びているが、それに関わっている元ビジネスホテル女子従業員の言葉だという。普通はチェックアウトでおしまいだが、農家民宿では特に、繰り返し来てもらう心がけが大切。「またおいで下さいね」と、ちゃんと相手の目を見て言うことが、一番のコツとか。▼「会うは別れの始まり」とはよく聞くが、逆もまた真理。「別れは出会いの始まり」。―噛み締めると、単に接客術を越えた、実に奥深い言葉のように思えて来る。▼卒業以来交信が途絶え、意識にすらのぼらなくなっていた人と、ひょんなきっかけからにわかに親交が復活した。そりの合わない上司と、人事異動でやっと職場が離れたと思っていたのに、回りまわってまた一緒に。誰しも思い当たることがあるだろう。あだや別れをおろそかにはできない。▼人生は流転。不遇をかこつ者も、いつまた幸運に巡り会えるやも。株で大もうけしたとうかれることなかれ。絶頂の時こそ最大の危機。…悪い話題ばかり目立った1年とも、まもなくお別れ。やがてまた、良い話題にあふれた一年と出会えることを期待しつつ。   (E)

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