シカの特別捕獲

2007.01.29
未―コラム記者ノート

 シカによる農林業への食害に歯止めをかけようと、丹波地域で3月下旬まで特別捕獲活動が行われている。いまは雌の妊娠時期。この時期に捕獲すると個体数の増加を効率よく抑えられるという。 篠山市の担当者によると、雌はかつては保護の対象だったが、あまりにもシカの数が増えたため「そんなことは言っていられなくなった」のだという。同市は、約1カ月間で140頭の捕獲を目標にしている。単純計算で毎週30頭近く捕獲しなければならないが、「これだけ一生けん命捕獲して、ようやく増加を横ばいにできる程度」なのだそうだ。 個体数が増えた原因は、よく知られているように野犬などの天敵がいなくなったこと。これに山の食べ物が減ったことがあわさり、苗木や農作物が食害に見舞われるようになった。人間にとっての「害獣」を駆除した結果、他の動物が増えすぎて新たな害獣となる-。人間と動物との関わりの中で、地域を問わずみられる事象だ。 来年4月、丹波市青垣町に、自然との共生を研究する県の「森林・野生動物保護管理センター」が開所する。丹波を素材にセンターがこの課題の解決策を見出せるか。今から期待がかかる。(古西広祐)

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