丹波のシュリーマン

2007.01.17
丹波春秋

 米大リーグのレッドソックス入団が決まったとき、松坂大輔は「夢という言葉は好きじゃない」と語った。なぜなら、かなわないのが夢だからだ。松坂にとって、大リーグ入りは夢ではなく目標だった。▼大リーグのマウンドで投げる。これは多くの野球少年の夢であり、松坂少年もそんな夢を描いたに違いない。ただ、それを夢に終わらせず、目標へと切り換えた。それができたのは、もちろん恵まれた才能もあるが、夢をかなえたいという思いが強かったからだろう。▼生涯をかけて古代ギリシャの遺跡・トロイを発掘したシュリーマンもその一人。ドイツの貧しい家に生まれ、多くの苦難の後、大商人としてロシアで産をなすと、業界を退き、私財を投じてトロイを発掘した。苦難に遭っても、トロイ発掘という少年時代の夢を持ち続けた不屈さがシュリーマンに偉業をもたらした。▼丹波地方で新年早々、丹波版のシュリーマンが登場した。恐竜化石を見つけた足立洌さんと村上茂さんだ。本紙のインタビューで元高校教諭の足立さんは「子どもたちに『私の夢は恐竜の化石を見つけること。君たちも夢を持て』と言い続けてきたので感無量です」と語っていた。▼二人は、恐竜化石の発見は「幸運のたまもの」と話していたが、夢への思いが強かったからこそ、運が味方したのだろう。(Y)

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