亥の子の餅

2007.01.29
未―コラム記者ノート

 私の故郷、篠山市栗柄には「亥の子」または「亥の子の餅」という伝統行事がある。11月の亥の日、夜中に小学3年生から中学生3年生までの子どもが集まり、ワラを束ねて作った長さ約30-40センチの棒を持って家を回る。その時「亥の子の餅祝いましょ」という歌を歌いつつ棒で軒先を叩くと、その家の住人からお小遣いをもらえる、というものだ。 しているときは不思議だとは思わなかった。しかし振り返ってみれば何故こんなことをするのか疑問だらけ。調べてみると西日本で主に見られる伝統行事で、棒で叩くのは田を荒らす悪い虫を鎮めるなどの意味があるようだ。餅を作って食べるだけのところや、家を回らず一カ所に集まるだけ、というところもあるが、秋の収穫を祝うというところは各地でおおむね一致している。 なぜ亥の日なのかというと、猪は多産であるため、古来から子孫繁栄のシンボルとして信仰を集めてきたためだそうだ。 亥の子の歌を聞くと、「今年もあとひと月か」という気分になる。来年は亥年。今から「来年もいい年でありますように」と思うのはちょっと気が早いか。(西澤健太郎)

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