内濠の桜

2007.01.29
未―コラム記者ノート

 3年後の築城400年に合わせて進められている篠山城跡の北内濠(うちぼり)復元工事で、「桜が切られてしまうのか」と心配した住民らが、城跡整備計画についての説明会を市教委に要請して開いた。平日の夜にもかかわらず、約80人もの参加があり、関心の高さが表れていた。 一時間にわたる市教委の説明では、『桜』については触れられず、「桜はどうなるのか」と質問が出た。市教委は「築城当時の地表は現在より1.5メートル低く、桜は埋め立てられた上に植わっている。石垣を復元するには地表を下げなければならない」と明確な理由を挙げ、「桜をおいておくことはできない」と言い切った。 一瞬、「それではもう何も言えないではないか」という雰囲気が漂ったように思う。しかし、ある参加者が、「桜に対する住民の思い入れや歴史こそが文化。みんなへの思いやりを」と発言すると、一斉に拍手が起き、桜を残してほしいという意見が次々に続いた。 たとえ完璧な説明のつもりであっても、納得できないのが市民感情かもしれない。何とかみんなが前向きに賛成できるような進め方を考えてほしい。(徳舛 純)

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