野菜の丸かじり

2007.01.29
未―コラム記者ノート

 大阪府箕面市の若葉幼稚園の園児約200人が、丹波市春日町の小橋季敏さんの農場で、野菜の収穫体験を行ったときのことだ。 そろそろ取材を終わろうか、という時にスイートコーンを持った小橋さんから声をかけられた。「生でもいけますよ」と、皮をむいて差し出してくれる。生で食べたことはなく、少し迷ったが一口噛んでみて驚いた。口いっぱいに果物のような甘さが広がり、思わず目を見張った。 その場にいた園児を撮影しに大阪からきたカメラマンも、勧められて最初はおっかなびっくりという感じだったが、私と同じく口に含むと、驚いてしばし無言になった。 続けてナスも勧められ、すぐにガブリ。これも果物かと思うような甘みがある。 驚いている私たちに小橋さんのお母さんがおっしゃった「農家は、自分とこの野菜が丸かじりにできるようなものを作らんと」という言葉が印象に残る。最近テレビ番組で、高価な食材を登場させ、出演者がやたらありがたがる、といった企画をよく見かけるが、野菜をその場で丸かじりする、これ以上の贅沢はない気がした。(西澤健太郎)

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