発見を願い本格発掘始まる

2007.02.18
丹波の恐竜

 丹波市山南町上滝の恐竜化石発掘現場で十五日、 化石が見つかった泥岩地層の調査が始まった。 上部にあった砂れき層などの除去を十二日までに終え、 予定より約三週間早く本格調査に着手した。 初日は研究員や地元ボランティアら約二十人が、 これまでの試掘で出た掘りくずに化石が含まれていないかを中心に調べた。 辻重五郎・丹波市長が激励に訪れたほか、 大勢の報道陣も現場を囲み、 恐竜化石への関心の高さをうかがわせた。
 午前九時半から作業開始。 化石が埋まっている深さを探るため、 地層の断面から小型の削岩機で溝 (幅四十センチ、奥行き二メートル) を入れ、 徐々に掘り下げていく工程に着手した。
 発掘を手がける県立人と自然の博物館 (三田市) の三枝春生研究員は、 「うっかりすると化石を壊してしまう。 慎重に、 遅いペースでやっている」 と説明。 「 (化石が見つかった) 竜脚類は頭が残っていることはほとんどない。 せめて尻尾の付け根など、 胴体に近い部分の化石が出てくれれば」 と期待を話した。
 ボランティアは、 丹波市を中心に十七人が参加。 化石を見つける技術を習熟するため、 掘りくずをハンマーで割り、 小さな化石などが含まれていないかを確認する作業を手がけた。 昨年九月末に見つかった肉食恐竜の歯の化石は、 この工程から発見された。 ある程度の技術を身につけた人から、 本格的な調査に関わっていくという。
 参加した主婦、 荒木幸枝さん (57) =山南町下滝=は、 「肉食獣の歯はダイヤモンドみたいに光っていると聞いた。 見つけられれば」 と笑顔。 南米パラグアイ出身の主婦、 フェルナンデス・イケダ・メルセデスさん (50) =同町青田=も、 「恐竜は大好き。 歯でも皮でもちょっとでも出てくれば」 と話した。 元夜間中学校教師の松原薫さん (58) =同=は、 「恐竜以外に、 当時のいろんな生き物の化石が出てくれば面白い」 と期待していた。
 現場を訪問した辻市長は 「気候の変動が激しいから、 十分注意して作業してほしい。 大きな夢を実現してほしい」 とボランティアを励ました。
 調査は約二十一平方メートルを対象に実施。 現場の後片付けを含めて、 三月末までに終了する。(古西広祐)

<写真>化石を含む地層の調査が始まった発掘現場=山南町上滝で

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