県立柏原 3月末で内科医2人退職へ

2007.03.11
丹波の地域医療特集

循環器疾患受け入れ困難に
外来の縮小も検討

 県立柏原病院の循環器系の内科医2人が3月末で退職することが10日までに分かった。 後任は決まっておらず、 残った医師のうち循環器系疾患の専門医は、 河本英作副院長 (内科部長) 一人となる。 医師不足により、 同病院は、 4月から内科について、 新規の循環器系疾患入院患者の受け入れや、 外来診療を縮小する方向で調整している。 今月中旬に最終的な診療体制を決め、 丹波、 篠山両市医師会や市民らに周知をはかり、 理解を求めていく。 4年前に13人いた内科医は、 4人になる。 (足立智和)
 退職するのは共に医長で、 日本循環器学会の認定専門医。 県内の他病院に移る。 2人の指導にあたっていた内科の指導医が昨年退職し、 心臓カテーテル手術など、 学びたい技術が同病院で学べなくなったことを背景に、 大学人事や本人の意向で退職の運びになったという。
 すでに、 循環器系疾患で通院中の患者に、 他病院の紹介を始めている。 病院側の都合で患者に転院を求めることから、 柏原病院が紹介状の作成費用を負担している。 入院患者の対応は、 これまで通り続ける。
 現在5人いる内科医は3人になる。 4月から同病院で後期研修を希望している研修医1人が加わるが、 研修医は研修と病棟管理が主で、 外来診察ができるのは3人になる。 3人のうち、 2人は消化器系疾患が専門。 循環器系が診られる河本副院長は、 腎臓疾患や内分泌代謝疾患などの専門外来を担当し、 入院患者のケアもあることから一般外来を行うことは難しく、 内科の一般外来は、 「開業医の紹介状を持った人で、 消化器系を中心」 に制限せざるを得なくなる見通しで、 「予約制」 に近い形になる。 診療体制を固めた上で市医師会に事情を説明し、 循環器系患者は、 専門医がいる他病院へ紹介するよう依頼することにしている。
 循環器疾患は、 心筋こうそく、 心不全、 高血圧、 不整脈、 脳こうそくなどが中心。 以前は基本的に内科が担当していた脳こうそくは、 半年前から脳外科で一部を診ている。
 同病院の林一路管理局長は、 「非常勤医を一人でも、 という思いで院長と医師確保に努めている。 出身医師にも手紙を書いたり出会ったりしているが、 『いずれは地元に帰りたい』 という意向を持っている人がいるものの、 今の勤務先での立場や、 家庭の事情で色良い返事は頂けていない。 待遇改善に努めているが、 苦慮している。 迷惑をかけ心苦しいが、 みなさんの理解と協力をお願いしたい」 と話している。
 同病院の内科外来は昨年の末から火、 木曜は予約制になっている。=07年3月11日掲載

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