「瓶割峠」の山道再興 春日町国領と篠山を結ぶ古道

2012.08.30
ニュース丹波市

写真・台風で根起きしたとみられる倒木を切り、道をつけるボランティアら=丹波市春日町国領で

 西国三十三ケ所の巡礼の道として江戸時代から使われてきた、丹波市春日町国領と篠山市追入を結ぶ瓶割峠 (標高390メートル) を遊歩道に整備しようと8月24、 25の両日、 森林ボランティアが山道をふさぐ倒木の除去作業を行い、 人が往来できるよう整備した。 年度内に、 国領地区が道案内の看板をつけ、 崩落部分を補修する。 「江戸時代から使われてきた歴史ある道を再興したい」 と張り切っている。

 

 日本森林ボランティア協会 (大阪市) の会員で、 父が国領地区、 母が篠山市大山地区出身の上田正三さん (68) =神戸市=の発案。 昨年5月に、 両親が通ったであろう道を調査。 篠山側は往来できるものの、 国領側が荒れていることや、 歴史的に価値があること、 山歩きに向いていることなどを両地区に伝え、 整備の機運を高めた。

 国領地区元気な地域づくり事業実行委員会 (上田脩委員長) と、 大山郷づくり協議会が関心を示し、 まず、 国領側で施業をした。 同協会の会員延べ29人と、 国領から上田委員長らが参加し、 枯れたマツを切り、 台風で倒れたとみられるスギなどを撤去した。

 小学校の学校行事で同峠を通って柏原の鐘ヶ坂に花見に出かけた上田委員長は、 「地元住民だけではとてもできない作業をやってもらった」 と感謝し、 「後の整備は地元主体でがんばる」 と言い、 同協会の山本博事務局長 (57) =宝塚市は、 「地域の歴史遺産の整備、 活用のお手伝いをさせてもらえた。 間伐の遅れが目立っており、 そちらの作業も手伝わせてもらいたいし、 大山側の整備も手伝えたら」 と話す。

 作業にも従事した発案者の上田さんは、 「ぜひ、 子どもが歩けるように整備してほしい。 篠山側は谷筋を、 春日側は尾根筋を歩く、 変化に富んだいい道になる」 と期待を込めた。

 

【瓶割峠(かめわりとうげ)】ひと息つこうと、 背中に担いだ丹波焼の瓶を降ろしたところ、 瓶が岩に当たり割れたことから、 名がついたとされる。 江戸時代の本街道で、 播磨の圓教寺や清水寺から丹後の成相寺に向かう巡礼道として使われていた。 春日側が急しゅんだったことから、 宝暦年間 (1751―64年) に篤志家が改修費を寄付し、 国領方面から篠山、 京都方面への通行に広く使われた。

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