検視活動続ける山南の歯科医・河原兄弟がドラマに 日航機事故後の遺族の物語

2012.10.04
ニュース丹波市

写真・ドラマのポスターを手にする河原さん=丹波市山南町井原で

 日航機墜落事故で父を失い、 その後、 歯の情報から遺体の身元を割り出す検視の活動を続けている丹波市歯科医師会長の河原悟さん (58) =丹波市山南町井原=と、 兄で同じく歯科医の忍さん=豊岡市城崎町=らの実話を元にしたドラマ 「尾根のかなたに~父と息子の日航機墜落事故」 が、 WOWOWプライムで10月7日と14日の午後10時から前編、 後編で放映される。 河原さんは 「ダイジェスト版を見て、 当時をまざまざと思い出し涙が出た。 事故から27年が経ち、 当時を知らない若い人にも見てもらえたらうれしい」 と話している。

 

 原作は、 門田隆将さんによる同題のノンフィクション。 日航機事故に巻き込まれて父を亡くした3組の家族にスポットを当てて父と息子の物語を描いている。 ドラマは豪華キャストが出演し、 河原さんのストーリーでは忍さん役を伊勢谷友介さん、 悟さん役を渡辺大さん (渡辺謙さん長男) が演じる。

 河原さん兄弟は1985年8月の日航機墜落事故当時、 地元歯科医師会とともに検視活動に携わった。 凄惨な現場で、 父親を見つけることはあきらめかけたが、 警察、 看護師、 歯科医のボランティアらの必死の努力で遺体の一部を連れ帰ることができた。 この時の恩返しがしたいと、 2人は翌年、 兵庫県で全国2番目の警察歯科医会立ち上げに奔走した。 以来活動を続け、 阪神大震災、 JR福知山線脱線事故でも身元判明に貢献した。

 悟さんは 「父親を見つけてもらえた時の喜び、 感動は忘れられない。 他の遺族にも早く安心してもらいたいという一心でやっている。 社会的な力添えをさせてもらっているのは親父のおかげ。 表には出ない仕事だが、 使命と思い、 できる限り続けたい」 と話している。

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