“曳家職人”復活へ始動 古民家を移動実習 篠山技能高等学院

2012.10.18
ニュース丹波篠山市

写真・曳家職人の内海さん(右)の指導で曳家を体験する篠山市内の大工や左官職人=篠山市宮ノ前で

 篠山市宮田の職業訓練学校 「篠山技能高等学院」 の訓練コースの一つ、 「曳家 (ひきや) コース」 の受講生たちが10月9日、 同市宮ノ前の古民家を移動させる 「曳家」 を現場実習した。 同学院の森田新治学院長によると、 同市内に曳家の職人は10年ほど前まではいたが、 現在はおらず、 昨今の古民家再生のニーズが高まる中で、 曳家職人の人材養成に力を入れていく。

 

 曳家とは、 建築物をそのままの状態で移動する建築工法。 鉄筋の新築が増え、 技術の伝承がうまくいかなかったことなどから、 職人が減っていた。 同市の城下町が国重要伝統的建造物群保存地区、 福住地区が市伝統的建造物群保存地区に指定されたことや、 都市部からの移住者が古民家を再利用する風潮が高まりつつあることなどから、 同訓練コースに初めて曳家コースを設定した。

 同コースには、 市内の大工や左官工など15人が在籍。 今年度計72時間の座学と実習を進めている。 9日には、 同市宮ノ前にある解体前の木造平屋の古民家 (延べ床面積約25平方メートル) を利用し、 最終の現場実習が行われた。 40年以上の曳家経験がある内海猛夫さん (80) =養父市八鹿町=の指導で受講生たちは、 「荷造り」 と呼ばれる、 ジャッキを受ける木材を組んだ後、 6カ所をジャッキアップし、 鉄製のコマを使って、 2メートルほど移動させたり、 回転させるなどした。

 参加した森田学院長は 「荷造りの方法がポイントだと思った」 と話した。 同コースでは、 京都府久美浜町で実際の曳家を見学する計画。

 同学院は、 曳家の人材育成に取り組んでいくため、 「日当たりを変えたい」 「敷地を有効利用したい」 「古民家を再利用したい」 などで、 実習用の古民家を提供してくれる協力先を募っている。 同学院 (079・593・1102)。
 

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