小倉百人一首競技かるた 岸田諭さん日本一 県内初の名人位

2013.01.10
ニュース丹波篠山市

写真・小倉百人一首競技かるたの 「第59期名人位決定戦」 で、千代間大和・5段と対戦する岸田諭・6段 (右) =滋賀県大津市の近江神宮で

 小倉百人一首競技かるたの日本一を決める 「第59期名人位決定戦」 (全日本かるた協会主催) が1月5日、 近江神宮 (滋賀県大津市) で開かれ、 兵庫県篠山市乾新町出身で篠山かるた協会所属の岸田諭・6段 (25) =京都市、 会社員=が兵庫県出身者として初の名人位に輝いた。 4年ぶり2度目の挑戦で日本一の栄冠を手にした岸田さんは、 「うれしい気持ちとほっとした気持ちで、 今は頭の中が真っ白。 幸せです」 と喜びをかみしめた。

 岸田さんは2009年にも名人戦に出場したが、 当時、 10期連続で名人の座を守り続けていた西郷直樹・永世名人 (当時30歳)に敗れ、準名人の座に甘んじた。 名人戦は本来、 東西の代表が挑戦者決定戦を行い、 その勝者が名人と対戦するが、 今期の名人戦は、 14連覇中の西郷・永世名人が 「後進に道を譲る」 として出場を辞退したため、 東西の日本代表が名人位をかけて対戦することになった。

 西の代表、 岸田さんと頂上決戦を交えたのは、 東の代表で、 西郷・永世名人と同門 「早稲田大学かるた会」 所属の千代間大和 (ひろかず) ・5段 (25) =横浜市、 会社員。

 試合は、 5本勝負の3本先取。 1回戦、 岸田さんは2度のお手つきがあったが、 冷静さを失わずに試合を運び、 4枚差で制した。

 2回戦は、 1音目からの反応の鋭さや札を払う正確さなどの持ち味を発揮。 札を囲って、 相手に出札を取らせないようにする 「囲い手」 など、 状況に応じた技を繰り広げ、 千代間さんを心理的に圧迫。 固唾をのんで見守る大勢のかるたファンから感嘆の声が漏れるほどの鮮やかさで、 終始、 試合の主導権を握り、 7枚差で危なげなく勝利した。

 岸田さんにとっては最終戦となる3回戦で、 追い込まれた千代間さんが猛撃を開始。 時折、 札を払うと同時に大きな声を上げるなど、 気迫に満ちた戦いを見せた。 序盤は両者、 一進一退の攻防で、 中盤は1、 2枚差で千代間さんが優勢に進めた。

 しかし終盤に差し掛かった千代間さん残り12枚、 岸田さん残り13枚の時点で、 千代間さんが相手から2枚札を送られる痛恨のお手つき 「ダブル」 をしてしまい、 試合の流れは岸田さんに傾いた。 岸田さんも勝ち急いだのか、 残り2枚の時点でお手つきをしたが、 最後まで集中力を切らさず落ち着いた態度で攻め抜いて千代間さんを3枚差で退け、 3勝無敗で名人位のタイトルを獲得した。

【競技かるた】「五七五七七」 の和歌を 「五七五」 の 「上の句」、 「七七」 の 「下の句」 に分け、 読手が詠む 「上の句」 から該当する札を判断し、 「下の句」 だけが書かれた札をいかに早く取るかを競う。 競技は1対1で行い、 100首ある札の内、 50枚を使う。 取札を自陣、 敵陣、 互いに25枚ずつ上、 中、 下段の3段に分けて並べ、 15分間の暗記時間の後、 競技開始。 敵陣から札を取ると、 自陣の札を1枚相手に送る。 相手がお手つきした場合も、 自陣の札を相手に1枚送る。 自陣の札が先に無くなると勝ち。

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