新県立病院26科6階建て PET―CT導入検討 統合再編基本計画案

2015.01.15
丹波の地域医療特集

 県病院局は13日、 県立柏原、 柏原赤十字両病院の機能を統合し、 2018年度 (平成30) 中の開院をめざす新しい県立病院の統合再編基本計画案を公表した。 神経内科や救急科、 病理診断科などを新設する26科 (現行は県立17科、 赤十字11科) の新病院のほか、 丹波市が病院隣接地に整備する関連施設に、 柏原日赤で行っている総合診療外来や健診などに加え、 市の保健センター機能なども集約することなどが盛り込まれた計画案。 新病院と関連施設を合わせ、 「急性期から在宅支援を含む福祉、 保健分野まで切れ目のない医療、 介護サービスを提供することで、 市の地域包括ケアシステムの中核的役割を果たす」 としている。

 整備場所は、 氷上工業団地 (氷上町石生) とし、 周辺の渋滞、 浸水、 通院アクセスなどは丹波市などと協議し、 対策を講じるとした。

 病床規模は290―330床程度。 うち、 急性期病床は現行2病院の259床から190―210床に削減する一方で、 急性期治療が落ち着いた患者が入院する回復期病床は現行の26床から100―120床程度に増やす。 鉄筋コンクリート造地上6階建てで、 屋上にヘリポートを設ける=図参照

 新病院の診療科構成=表1=は、 両病院の診療科を持ち寄り、 神経内科、 血液内科、 リウマチ科、 腎臓内科、 救急科、 病理診断科を新設。 外科は、 消化器と乳腺の2つに分けた。 非常勤医師の外来対応のみとなっている脳神経外科も常勤医を招へいし、 入院再開をめざす。

 血液浄化療法では以前のように、 人工透析の導入や透析患者の合併症に対応する。 医師教育の視点から慢性期の維持透析も実施する。 脳疾患、 心疾患では、 回復期リハビリテーション病床を設置する。 新たな医療機器として、 脳の血管などをみる 「頭部血管造影装置」 を導入する。 全身のがんを一度の検査で調べることができる 「PET (ペット) ―CT」 の導入を検討する。

 地域医療にかかる医療人材の育成拠点として、 神戸大学と連携し、 指導体制、 施設を整備する。 医学教育の中心的役割を演じる臨床と教育能力に優れた医師を養成する。 関連施設との連携で、 総合診療医を養成する。 看護師、 薬剤師、 技師、 療法士などの受け入れ、 育成にも力を注ぐ。

 基本理念は、 ▽急性期から回復期までの幅広い通院の提供▽地域包括ケアシステムを支える機能の提供▽救急拠点施設としての医療の提供▽地域医療にかかる人材の育成―。

【関連施設】丹波市の保健・福祉/業務の入居を検討

 関連施設=表2=は、 「休日夜間応急診療」 「総合診療」 「福祉」 「保健」 の4つのセンター (いずれも仮称) を1つの建物に入居させる方向で検討中=表3。 柏原日赤が担ってきた、 総合診療科外来 (内科、 小児科、 外科などに対応)、 健診、 がん健診、 人間ドック、 在宅療養支援、 訪問看護、 訪問リハビリテーションを行う 「総合診療センター」 は、 県が市から業務を受け、 新病院と一体運用する方向で丹波市と協議する。

 丹波市が氷上保健センター (氷上町常楽)、 地域包括支援センター (市春日庁舎)、 こども発達支援センター (春日町黒井) の3カ所で行っている健康啓発、 疾病予防、 母子保健、年金、国保、介護予防、 相談、 子どもの発達相談などの業務も、 関連施設に機能移転を検討する。 福祉センターで新たに通所リハビリを始める。

 統合再編前から、 両病院で相互に職員の派遣や情報共有化の取り組み、 職員研修などを実施する。

 来年度に基本設計と実施設計、 16年度に建設工事開始。 2年強かかる見込みで、 開院は18年度途中になる見通し。 事業費概算額は示さなかった。

県民意見を募る

 県病院局 (企画課078・362・3299) は、 統合再編基本方針案への県民意見を募っている。 案は、 県のウェブサイト、 県立柏原病院、 柏原総合庁舎で閲覧できる。 取り寄せ (切手代250円) も可能。 2月2日まで。 詳細は問い合わせを。

 

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