円通寺糸桜再生の記録 14年の歩み出版 氷上町本郷・大木さん夫妻

2015.04.30
ニュース丹波市自然

今春開花したイトザクラの後継木。 樹高は3・5メートル以上に育った

円通寺 (兵庫県丹波市氷上町御油) のイトザクラの後継木の育成にボランティアで取り組む氷上町本郷の造園業、 大木広二さん、 幸子さん夫妻が、 14年の歩みをまとめ、 自費出版した。 栽培記録を写真と共に掲載。 同寺などに寄贈する。

同寺本堂裏手にある樹齢200年のイトザクラに魅せられ、 老木を後世に残そうと、 2001年から挿し木、 接ぎ木で苗木づくりに挑戦。 7年間失敗続きであきらめかけた時に公益財団法人、 結城農場 (茨城県結城市) を紹介され、 08年に枝を送ったところ接ぎ木に成功。 育った苗3本を10年に同寺の持ち山に移植、 うち1本が今春成木になり花をつけた記念に出版した。

主に文章は幸子さん、 写真は広二さんが担当。 失敗続きの7年間の苦労、 茨城から苗木が戻って来た時の喜びを綴り、 以後5年間の栽培記録、 成長のようすをカラー写真とともに、 撮影日、 作業内容、 樹高などのデータを付けてまとめている。 ページをめくるごとに、 木が成長していく姿が見られるように構成している。

苗木の移植後はおおむねひと月ごとに様子を見に行った。 3本植えたうちの1本は枯れ、 2年後に植え直した。 大木さん夫妻のほかボランティアらと 「イトザクラを守る会」 を作り、 世話を続けている。

広二さんは 「ここまで大きくなったら一安心。 丹波市にはいろんな木がある。 こういう風に記録を残していけば、 後世に残る」 と言い、 幸子さんは 「多くの人のお世話になったおかげ。 糸桜が人との出会いももたらしてくれた。 高い場所に植えたので何歳まで坂道を登れるか分からないけれど、 体のもつ間は続けたい」 と微笑んだ。

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