壱鞍神社(綾部市十倉志茂町西赤阪)

2016.07.21
中井一統特集

 国道27号、綾部市山家を北上して上林地区の十倉志茂町の左山麓に鎮座する古社。背後の山を借景にして素晴らしい景観の神域が目に入る。創建時は応永元年(1394)。現在の社殿は文政6年(1823)。一間社流れ造り。祭神は木花佐久耶昆売命(コノハナサクヤヒメノミコト)。
 向拝には宝珠をしっかり握り、珍しく髭は木で作られている小型の竜がまず目に入る。すぐ上には力士が梁を持ち上げている。木鼻は唐獅子と象がしつらえられているが、ここでは、本殿の周りにも8頭の象が元気よく並んでいる。手挟みはなかなか手の込んだ牡丹の彫り物である。2頭の唐獅子も目に入る。本殿左右の上部には、長寿を祈念する鶴と亀が躍動している。さらにその上部には牛と馬(龍馬すなわち麒麟)が彫られている。兎の毛通しの鳳凰も立派だ。左の脇障子は虎の上に乗る仙人、右のそこには昇竜と仙人が見てとれる。6代目中井権次橘正貞の秀作。
元高校教諭 岸名経夫

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